アシスタント時代、ニコンFが欲しくなりました。
脱線しますが、当時なぜニコンFがプロ機と呼ばれていたのか?
で、私か欲しくなった理由といいますのは、Uがすでに高校時代にペンタックスからニ
私はアシスタントのバイトをしておりましたし、家業を手伝ってバイト代も稼いでいま
購入したのはFボディにアイレベルファインダー、24mmF3.6レンズでした。
レンズを24mmにしたのは前述したように、交換レンズ群は身近に豊富にあったし、その
ニコンFはペンタックスSPと比べるとじつに硬質感のあるカメラでした。
私が一番とまどったのは、シャッターボタンの位置でした。
あとは便利になったなと思ったのはレンズ交換でした。
使用感は素晴らしいものであったと思います。
ところが、
なぜニコンFなのか?
当時、プロと言えばニコンFを使っていました。
ニコンFと言えばプロであり、それほどにプロ機として認知されているカメラであった
のですが、私はそに頃すでに将来はプロにはならないであろうと感じていたので、プロ
機であるからというのが欲しくなった理由ではないのです。
ある人はレンズの解像度がずば抜けているから、とか、ファインダー視野率が100%
であり、実像との錯覚がないから、とか、操作感がシビアであるとか、いろいろ言われ
ていました。
そのどれもが本当の事であったと思いますが、田中誠一さんに言わせると、これがけっ
さくでありまして、「ニコンFは丈夫なんよ。 俺なんか何回か落としてるけど壊れへ
ん」と言うのです。
たしかに丈夫なカメラであり、構造がシンプルであるためか狂いが少なく誤作動が無い。
誤作動が無いという事は、大事な撮影において失敗が少ないという事であり、それがプ
ロに支持されていた由縁ではなかったのでしょうか。
コンFに転向しており、交換レンズやアクセサリーをかなり多く持っていて、それらを
借りる事が出来るので、私はボディ1台を持っていればかなりのバリエーションで撮影
が出来たからなのです。 さらにはアシスタントをしている場では田中誠一さんのレン
ズも使わせてもらう事が出来たので、これは1台持っておきたいと思ったのでした。
したので、欲しいと思ってから購入するまでさほど時間はかかりませんでした。
露出計は付いていません。
フォトミックファインダーを購入すれば平均測光露出計は付いていましたが、プロはフ
ォトミックファインダーなど使っていませんでしたし、そのファインダーを付けるとや
たら頭でっかちの無骨なスタイルとなるため、敬遠しました。
その代わりに購入したのがペンタックスのスポットメーターでした。
このスポットメーターは当時では唯一、入光角が1度というすぐれものでありまして、
多くのプロが使っていた露出計なのですね。
当時はこのスポットメーターか入光式のストロポメーターを首からぶら下げているのが
かっこいいと思っていた時代ですので、私は普段からこのストロボメーターを首にかけ
スタジオ以外のところへも出ていっていたものです。
頃から私のベストパートナーは24mmであったからなのです。
直線の中にもデリケートな曲線を含んでいたペンタックスSPとは対照的にほとんどが
直線基調であり、ペンタを女性とすればニコンFはがちがち硬派の男性といったところ
でした。 使用感も硬質であり、感覚としての力のいるカメラという意識がありました
ね。
ペンタックスSPの場合、シャッターボタンは軍艦部の前方、レンズ側にあり、人差し
指を除く残りに4本の指でボディを持った場合、自然と人差し指はシャッターボタンの
上にきました。
ところがニコンFの場合はシャッターボタンが軍艦部の後方、ファインダー側にあり、
ペンタックスSPに慣れていた私の人差し指は自然にシャッターボタンの上にいかない。
ほんの1センチくらいの事なのに意識しないとシャッターボタンに指がいかないのです。
これにはとまどいましたし、いまだにニコンFを持つ時にはこのとまどいがあります。
現在私がメイン機にしているニコンF4はシャッターボタンがかなり前方にあるため、
自然に持てるのですが、唯一ニコンFだけが自然に持てないカメラなのです。
ペンタックスはスクリューマウントであり、レンズ交換はじゃまくさく、へたをすると
交換の際にレンズを落としてしまいそうになったものですが、ニコンはプリセットマウ
ントであるため、じつに交換もスムースで早くおこなえるようになり、これはいいでは
ないのと感心したものでした。
誤作動をおこさないという風評からの信頼感があったからなのかもしれませんが、山に
行っても海に行っても確実に撮らせてくれたという感じでした。
入光角1度というスポットメーターと会わせて使っていたという事もあり、ペンタック
スの時よりもずっと光と影を意識した露出を取るようになり、それらを狙った作品を撮
るようにもなっていきました。
私はそれまでペンタックスSPで数多くの作品を撮ってきました。
そして、ニコンFになってからはさらに数多くの作品を作ったと思うかもしれませんが、
その後、私は大学に入り、写真から離れる事になり、ニコンFにて作品を作る事はそう
多くはなくなっていったのでした。
憂想堂
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