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《 第二十四話 洋館 》


ロケ地としてよく使われるのが洋館です。                  
関西では神戸北野町の異人館が有名ですが、さらに西へ行ったところに塩屋という
閑静な住宅地があり、そこにも実際に住まいとして使われている異人館が沢山あり
ます。                                  
もちろん外国人の方が住んでいますので様式は全てその方の祖国のものです。  

私がアシスタント時代、初めてロケに行った洋館は塩屋の山手にあるアメリカ人の
富豪の屋敷でした。 木々に囲まれたお洒落な屋敷に入ると、いきなりパーティで
も出来るような広間でありまして、もちろん土足のまま入るのですが、天井も高く
とても広い空間が私達を迎えてくれます。                  
家具調度もクラシカルで重厚なもので、それ以上何も手を加える事なく、撮影のセ
ット以上のものなのですね。                        
キャリーカウンターがあり、なにげなくウイスキータンブラーが乗っていたり、ア
ルコーブの窓枠にはアンティークな人形達が並んでいたり。          

私達ロケ隊はすぐに撮影のセッティングをするのですが、もう何も触るところはあ
りません。 商品(オーディオ)をセットし、ハーフの飛びきりの美少女モデルを
とけ込ませ、ただただシャッターを切ります。 ロケ地に酔ってしまうという事が
あるのを私はその時に体験しました。                    
後年、私はいろんなロケーションハウスやハウススタジオを使って撮影をしました
が、それらは形だけの演出であり、作り物っぽさがどうしても出てしまい、ロケー
ションに酔うという事はありません。 しかし、実際に感性あふれる異文化の方達
の住んでいるお洒落な洋館というのは付け足した作り物っぽさがなく、全てが本物
という感じが出ていてとても酔わせてくれます。               

SPGのロケでも一度ああいった洋館、異人館でやってみたいと思っているのです
が、よほどのコネがないと借りるのは難しいですね。             

その後、神戸北野町にある有名な異人館「ウロコの館」でも撮影をしましたが、こ
こもまたとてもリッチな空間を見せてくれました。              

異人館のリッチさというのは家具調度の豪華さだけではなく、その広い空間と明る
い採光なのですね。 私は現在、築80年という旧家に住んでいますが、典型的な日
本住宅でありまして、1階には窓のない部屋もあります。 全体に暗いのです。 
それに引き替え洋館というのは思い切り採光窓をとっているのですね。 天井が高
いという事はそれだけ窓の面積を広くとれるという事で、それだけ明るくなる。 
その広い空間と明るさがとてもリッチに思えるのです。            
モデルさんを使った撮影の場合、私は背景にもとても気を使います。      
そういった意味からも、こういうリッチな空間での撮影というものをもっとしてい
きたいものですね。                            




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憂想堂
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