ロケ出発の日、成田空港でメイクのCさんと待ち合わせ。
軽くうち合わせをしているところへかなぶんとマネージャーがやって来まして、即
搭乗手続きです。
ジャーマネを残して3人でゲートをくぐり機上の人へ。
フライト時間は約10時間。
午後3時に成田を発ちましたので、シスコ到着は日本時間の翌午前1時なのですが
時差がありまして現地時間では午前8時です。
機内でかなぶんとゆっくり話をしようと思っていたのですが、機内食を食べたらC
さんとかなぶんはすぐに寝てしまいまして、私はひとりで映画を見とりました。
時間的にはまだまだ眠くなる時間ではなかったので、結局私は現地に着くまでほと
んど眠らなかったのです。
シスコに着きまして、空港に迎えに来て下さっていた現地コーディネーターのW氏
と合流。 W氏の車で市内のホテルへ。
サンフランシスコはカリフォルニア州でありまして、この州は州法で喫煙がとても
厳しく規制されている。
パプリックであるならいかなるところであっても室内、建物内では喫煙をしてはい
けない、という事なのです。 煙草を吸いたければレストランにいようがクラブに
いようがとにかく外にでなければ吸えない。
つまり食事をして食後の一服をそのテーブルでは出来ないのである。
これはホテルも同様で、ロビーどころか客室まで禁煙なのである。
これは困った。
私は普段はそんなに吸わないのであるがロケに出た時などはストレスからヘビース
モーカーになるのである。
いらいらしながらロビーに降り、かなぶんと合流。
同じくヘビースモーカーのかなぶんも困っているだろうと思い、そう言ったら、
「え? 私の部屋は禁煙じゃないですよ」と言う。
そんな阿呆な。 全室禁煙のはず。
「だって灰皿ありましたよ」と言うので、
「どこにあったの?」と訪ねましたら。
「バスルームの中」
「………どんな形してた?」
「えーーと、こんな、貝殻の形」
「……、そりゃソープディシュや」
という事でなんか落語ネタみたいな会話となりましてかなぶんも慌てておりました
が、とにかく禁煙という事でロケの間中これに悩まされました。
着いたその日のその時間といえば日本時間で言えば午前3時くらいで、いつもなら
そろそろ寝ようかという時間であります。
長旅の疲れも出ていたのか、私はこの時すごく眠たかった。
機内で寝ていたかなぶんは元気そうでしたが、じつはこれが時差ボケの始まりだっ
たのですね。
その日は撮影は無しで、その代わりに撮影用の衣装の買い出しです。
まず昼食を摂りにフィッシャーマンズワーフへ。
私はここの屋台で蟹を食べたかったのですが、屋台に近づくにつれ、かなぶんが、
「私、シーフードがだめ」と言い出した。
しかしなんとか蟹を食べたい私は「食べようよ、せっかくやし」となだめたのです
が、とにかく屋台の匂いがだめという事で、しかたなく屋台から離れているシーフ
ードレストランへ。
ここは匂いも無く、ちゃんとデッシュで料理の出る店なのでかなぶんも納得して入
ってくれました。
私はここで蟹を食べた訳ですが、やはり屋台での蟹かぶりつきで食べたかった。
この恨みは忘れへんで。
その後、シティの中心地へ。
ありますあります、ブランドショップからデパート、GAPまで、さすが大都会で
す。
衣装については私からはあまり注文をせず、とにかくかなぶん自身が気に入って、
納得して来てくれるものを選びました。
かなぶんは普段着もそうなのですが、あまり高級なものには興味がなく、ブランド
志向でもありません。
普段でもジーンスとスニーカーでぺたぺた歩いている感じなのです。
という事で、あまり高いものにはならず結構いいものが揃いました。
しかしロケハンが事前に出来ていなかったのでロケーションがはっきりと掴めてい
ないため、やはりこの時でけでは仕込みきれず、その後もロケをしながら断続的に
買い足しをしていくというはめになりました。
やっぱりちゃんとスタイリストには付いて欲しかったですね。
はっきり言って、その日は私はとことん眠かった。
時差がこんなに効いてくるとは思わなかった。
かなぶんは元気だったのだが、これが落とし穴。
かなぶんはその夜はまったく眠れなかったのです。
そして睡眠不足がロケ中に襲ってくる。
そのまた夜は眠れない。
この繰り返しでへろへろになってしまったのです。
シスコは快晴でした。
雲が全くひとつも無いという快晴で、青空がこんなに濃いものであるというのを私
はもしかしたら初めて見たのではないだろうか。
おかげで昼間は暑く、Tシャツ1枚で充分なくらいであったのですが、これがまた
また落とし穴で、日が落ちるととたんにぐっと気温が下がる。
昼間と夜間との温度差はなんと15度もありまして、夜はジャケットが無いと寒く
ていられない。
その日は衣装の購入もありましたがロケハンも兼ねていてかなぶんも一緒に市内を
まわっていたのです。
かなぶんはリースリーブのシャツを来ていました。
ちょっと早めの夕食を摂り、外へ出たとたんにその寒さにかなぶんも震えあがり、
夜景のためのロケハンに行こうと言っていたのを急遽とりやめてホテルに戻りまし
た。
この温度差がじつは次の日からのロケに影響をあたえる事になるのですが、これま
た次号へのお楽しみに。
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