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《 第四十四話 創造の選択 》


写真というのは、選択という行為から始まるのではないかと思います。
何を写すのかというところから始まって、それをどう撮るのかによってのレンズの選択、
フォーカス深度、シャッタースピード、フレーミングによる構図の設定や光の角度等々、
このどれもが選択という行為によって決められてくるのである。
つまり、写す対象が選ばれると、それをどう撮るかという意図の元に、標準レンズで肉
眼に近いものにするか、広角レンズで遠近感を強調するか、望遠レンズで平行透視のよ
うな画角にするか、あるいはあるいは、ハイアングルで俯瞰するのか、ローアングルで
迫力狙いか、対象に近づいて部分アップでそのテクスチャーを表すのか、そしてそして、
絞りを開いて被写界深度を浅くして背景をほかしたり、反対に絞り込んで全体にシャー
プな描写を狙う。
このように、写真ではカメラを使った選択という行為によって作品は成立する。
したがって、表現における創造性や作者のイメージの創作は、すべてそれらの選択作業
の善し悪しにかかっていると言っても過言ではない。
それらの選択作業そのものが作者の力量とでも言えるのだろうか。

では、その選択作業の課程において、数ある選択肢の中らひとつを決定していく能力は
どうやって培われていくのか。
それはやはり試行錯誤の繰り返しであるのでしょうね。
どういった選択をすればどういう絵になるのだという経験値を積むというのが一番の早
道なのではないかと思います。
そのためには、休日にはカメラを持って出歩き、気に入った被写体を撮り続ける。
あるいは撮影会に出向き、何人ものモデルさんを撮り続ける。
失敗を繰り返し、どうして失敗したのかを考え、うまく撮れている時には、どの選択肢
であったのかを反芻する。
この繰り返しなのでしょうね。

やはり私も、もっともっと「書を捨て、カメラを持って街に出よう」を積み重ねなけれ
ばならないようです。


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憂想堂
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