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《 第四十五話 何が原盤? 》


銀塩であるならば、撮影して現像したフィルムがポジであれネガであれ、それが
原盤と言える。
では、デジタルならば何をもって原盤と言えばいいのだろうか。
銀塩で言うところのフィルムはデジタルではCFMDなどのメモリーカードであるの
だが、これはそのまま保存するものではなく、PCのハードディスクにコピーしたり
CD-ROMにコピーしてしまい、し終わったら内容はデリートしてしまう。
であるからメモリーカードは原盤とは言えない。
では、ファーストコピーしたCD-ROMになるのだろうか。
保存用としてはそう言えるかもしれないけれど、そして現実に私などはそう呼んでし
まっているけれど、厳密にはこれも原盤とは言い難いですね。
なぜならば、データは全く同じものがいくらでもコピー出来るからである。
ネガであれポジであれ、似たものをコピーで作れても、全く同じものを作り出す事は
出来ない。
故に原盤と言えるのである。
ではコピー出来るデジタルに原盤と言えるものは無いのか?
厳密な意味での原盤は無いと言えるでしょうけど、私の場合であるなら、作品として
仕上げる課程において、そのデータはオリジナルとは異なったものとなってしまう。
という事は、作品として仕上げたものが普及版であり、何も手を加えていないものが
原盤と言えるのではないか。
手を加えた普及版は私以外がいくらでもコピー出来るのであるが、オリジナルデータ
である原盤は私の手元から外に出る事がまず無いのであるから私以外にコピーは
出来ない。
となれば、私がむやみにコピーしなければ、このファーストコピーのオリジナルデータ
が原盤という事になるのでしょうね。

でも、やはり目に見えるポジやネガに哀愁を感じてしまう私はまだデジタル化されて
いない人間というところなのかもしれません。


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憂想堂
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