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《 第五十一話 ライカM3 》


ふとした事からライカM3を触らせてもらった。
触っただけである。
撮影した訳ではない。
「ほぉ〜〜、これが名機M3か」
と思ったけれど感激は無かった。
何故か?
撮っていないからである。
私がカメラに持つ感激というのはブランド名だけではなく、名機という評判だけでは
なく、撮影しさた時の「おぉ、ええ感じやんけ」というフィーリングと、仕上がった
作品の出来具合を見た時のものである。
であるから触っただけでは感激は無いのですね。

ファインダーをのぞき込み、ピントリングを回してみた。
ファインダー中央の二重画像がリングの動きに合わせて平行移動し、ぴたりと合った
ところが焦点となる。
一眼レフのようにマットの上で焦点を確認出来る訳ではない。

で、いじくっているうちに、ふと思った。
レンジファインダーカメラは近距離の被写体を撮る時に絞り解放だと撮りにくいやろ
なあ、という事です。
なぜなら、ピント合わせのための二重画像窓はファインダー中央部に小さくあるだけ
で、ピントはその中央部でしか合わせる事が出来ないからである。
仮にモデルさんの顔のアップを撮るとしよう。
瞳にピントを合わせたいと思い、瞳を中央に配置しピントを合わせる。
そのままシャッターを切るのなら良いのだけれど、ちょっとレンズを振って瞳の位置
を横の方にもっていった場合、微妙にピントはずれている可能性があり、それをその
構図のままでは確認出来ないのではないか。
近距離の解放状態ではすこしずれただけでピンは外れてしまう。
これが一眼レフであるならマニュアルで撮ればピントを合わせたい瞳がファインダー
中央からずれても肉眼で確認しながら合わせる事が出来る。
また、最近のAF機であるなら撮影者の目の動きに合わせてフォーカシングポイントが
動いてくれるから構図がずれてもファインダー越しにモデルさんの瞳を見るだけで瞳
にピントが合い、それを肉眼で確認出来る。

となるとレンジファインダーカメラで私のようなメイン被写体をフレームの隅の方に
配置する作風のカメラマンは非常に撮りにくいのではないだろうかと思った。
そのような構図を狙う時は相当に絞り込まなければピント外しまくりになるんやろう
なあ。

レンジファインダーカメラをお使いのみなさんはそのような時、どういう撮り方をさ
れていますでしょうか。


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憂想堂
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