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《 第五十五話 ロンドンダンジョン 》


有名なロールプレイングゲームで「ダンジョンズ&ドラゴンズ」というのがあります。
ゲームの中においてダンジョンというのは巣窟とか魔窟とか言う意味合いで使われて
います。
その魔窟という名を付けた博物館がロンドンにあります。
その名も「ロンドンダンジョン」。
いかにも何かおどろおどろしげな名前ではありませんか。
そうなのです、まさにおどろおどろしい。
ここは何か言いますと、なんと「拷問博物館」なのです。
歴史を遡り、中性から現代までのありとあらゆる拷問や猟奇事件を蝋人形を使って実
物大のジオラマで展示しているのです。
さすが英国であります。
日本でならここまではやらんでしょう。
入ってみますと、いきなり中世の断頭台がありまして、後ろ手に縛られて断頭台に頭
を乗せられた男が横にいる斧を振り上げた首切り役人に今しも首を斬り落とされよう
としている場面が飛び込んできます。
BGMも悲鳴やうめき声やか弱い賛美歌のオンパレードでありまして、薄暗く陰々滅
々の場内であります。
処女の血をシャワーの用に浴びて若返りを図ったというエリザベート,バートリーや
マリー,アントワネットがキロチンにかけられているシーンや公開鞭打ち刑のシーン、
目玉をえぐり出したり、耳や鼻をそぎ落とすしーん、内蔵を取り出すシーン、その他
ありとあらゆる残酷な拷問刑罰のシーンがこれでもかというくらいてんこ盛りでござ
います。
で、驚いたのは、それほどの残虐な場面ばかりの博物館でありながら年齢制限が無い
のです。
つまり子供でも入って見る事が出来る。
残虐なばかりではなく、拷問を受ける側はほとんど全裸でありまして、ヘアーや性器
も丸見えであります。
これだけでも日本では未成年に見せられないどころか公開すら出来ない。
公開鞭打ち刑の場面では民衆の前で全裸の女性が柱に縛りつけられて鞭打たれ血塗れ
になっている。
魔女狩りのシーンでこれまた全裸の女性達が両手両足を縛られて天井から吊されて下
から火で焼かれている。
前向きに縛られた男性がおちんちんを切り取られているシーンもあった。
じつに猟奇的であり、子供に見せれたものではないのですが、ロンドンの子供達は興
味深げにそれらを見ている。
国民性の違いと言えばそれまででありますが、子供達はあれを見てどんな大人に育っ
ていくのだろうかと考えさせられます。
面白かったのは「切り裂きジャック」の場面でありまして、そこでは時間を決めて、
殺害シーンの実働再現やナレーションが効果的に入り、映画や舞台を見ているような
感覚になり、最後にはあっと驚く仕掛けがあったりして、お化け屋敷的な面白さがあ
ったりします。
ひととおり回ったところにカフェがあり、そこでコーヒーを飲んだのですが、そのコ
ーヒーがなんだか血のように見えて飲めなかったです。
で、さらに面白いのが、そのロンドンダンジョンの建てられている場所が切り裂きジ
ャックの殺害事件の現場跡だと言うのですから英国人のものの考え方は素晴らしい。

で、オチなのですが、ロンドンダンジョンを出たすぐ近くに切り裂きジャックの殺害
現場がまたありまして(10人くらいを殺しているので市内のいくつかにこうした殺害
現場跡があり、プレートでそれを表示している)そこで記念写真を撮った。
3人で交互に撮ったのですが、3枚続けて撮った真ん中の1枚だけに白いモヤのよう
なものが写っていたのは、何であったのだろうか?


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憂想堂
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