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《 第五十六話 プラトンハウス 》


これまたロンドンに行った時のお話なのですが。
ロンドン市街のほぼ中心部にソーホーという地区があります。
その昔はニューヨークのスラムみたいな土地だったようですが、現在ではミュージシ
ャンやアーティスト達が集まり、倉庫を改造したようなライブハウスでコンサートを
やったり個展をやったり、いろんなパフォーマンスが見れたりする前衛的な地域とし
て有名になっているところです。
ローリングストーンズがデビューしたマーキークラブもここにあります。
その中にある“プラトンハウス”という店に通訳の方が連れていってくれました。
プラトンハウスとはなんぞや?
と思って入りますと、入り口で入場料を払い、ロッカールームへ。
そこで服を全部脱いで素っ裸に。
そして奧に入っていくと……。
んっまぁーーーーーーーっ、なんとそこはヌーディストクラブだったのです。
かなり広いスペースに、ドリンクバー、レストランスベース、映画を見る事も出来る
リラックススペース、プールにジャグジー、サウナもある。
全体的にローマ時代の大理石を堀り抜いたような内装で、ちょっと重厚で妖しげで、
退廃的で懐古的な雰囲気の中、数十人もの男女が全員素っ裸でそれぞれに何かをして
遊んでいるのです。
あるカップルはバーでカクテル飲みながら話込んでいるし、あるカップルは抱き合う
ようにソファに寝そべって映画を見ている。
女性ばかり数人がバーで相手を捜しているかのごとく周囲の男性に目配りしている。
プールでは数人の男性が女性グループをナンパしているかのごとく話かけている。
まるでローマの温泉での退廃的な男女の交遊を描いた絵でも見ているような錯覚に陥
るようでした。
ここでは初めてあった者同士でもすぎに解け合えて、裸のままで一緒に過ごせるとい
う天国のようなクラブではありますが、ただひとつ、だからといってその相手とこの
クラブの中でエッチしてはいけない、という事だそうです。
裸イコール即エッチではないという事なのですね。
あくまで裸という自然な状態で交遊を深めていこうという主旨なのだそうです。
だから個室やベッドルームは無いのです。
バーカウンターでカクテル飲みながら、身の前を行き来する若い裸の女の子達を眺め
ているのって、私人が古代ローマの支配者層になったような気分でとても爽快でした。
かつてプラトンもこのような光景を目にしていたのではなかったでしょうか。
プラトンハウスとはそういうところから名付けられたに違いありません。
このクラブ内での性行為は御法度ですが、気に入った子とお互いに了解が取れれば、
外にでてエッチするのは自由恋愛という事でOKです。
が、ここで通訳氏が言いました。
「今、ロンドンではエイズが怖いですから、ロンドンの女の子とは絶対にエッチして
 はいけません」
と。
「ただ、見るだけならば大丈夫なので、ここで充分に裸の女性を堪能しましょう」
という訳ですね。
もちろん、じっくりと時間をかけて充分に堪能したのは言うまでもありません。
今思いますと、ロンドンの女性はアメリカ人の女性よりも小柄な人が多かったように
思います。
私が撮影したアメリカ人モデルのJilianaは身長180センチあって、それでもアメリカ
ではそんなに高い方ではないと言っていた。
けど、プラトンハウスで見た女性達はほぼ日本人と変わらない体型ばかりであったと
いう印象ですね。
けど、色は白く、ヘアーも黒くはなく、産毛がきらきらと光っていて、アメリカ人と
同じ白人であるというのはすごくよく判りました。
とにかく私達はプールで泳ぎ、サウナで汗を流し、食事をし、そのどのシーンにもま
わりには裸の男女がいて、ローマ帝国の貴族気分を味わう事が出来たのでした。
こういう体験って海外へ行かなければ出来ません。
日本でも出来れば良いのですが、100年前の法律を自ら改正する度胸のない保守的な
人達が施政者である間は無理なんでしょうね。
私はロンドンに行けばまたプラトンハウスには行ってみたいです。

ソーホーにはこういったクラブの他、ストリップバーやショーラウンジもたくさんあ
ります。
そのひとつ、レイモンドレビューにも行きました。
お酒を飲みながらプレイボーイ、ペントハウスレベルの女性達のストリップを見る事
が出来るクラブです。
このストリップというのが日本のものとは違い、ほとんどミュージカルなのですね。
ストーリーもしっかりあって、踊りや歌もふんだんにあり、踊り子もワンステージに
ひとりではなく、いろんな役の女性達が裸で踊りまくる、という迫力のあるものでし
た。
なにより女性の美しさに目を奪われてしまいまして、日本のストリップのような特出
しとかは無いにもかかわらずステージに目を奪われてしまいました。
ただ、このストリップの場合は美しいけれど、プラトンハウスのような親近感や雰囲
気の中にはいってその空気を味わうといった部分が無いため、あまり後に残らない。
見ている者とステージ上で踊っている女性との距離が開いていたような気がします。
私はやっぱりローマの雰囲気がいいですね。


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憂想堂
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